「部下の本音を聞けていない」
多くのリーダーが悩んでいると思われる「聞く」ということ。
「部下の話を聞くこと」=「傾聴」
「傾聴」はリーダーになると求められるスキルですが、学ぶ機会はほとんどないのが現状です。
そのため「傾聴」で悩んでいる方は非常に多い。
そんな「傾聴」に悩んでいるアナタに紹介したい本が『優れたリーダーは、なぜ傾聴力を磨くのか?』です。
この記事を読んでわかること
・「傾聴」とは?
・部下の話を聞くときの手順
・話してもらうために必要なこと
著者:林健太郎について
- リーダー育成家
- 合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ
- 一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部 創設者
- Twitter:@youleadicoach
国内外問わず企業向けの研修講師としてご活躍されており、コーチとして独立してからは650名以上の経営者やビジネスリーダーに対してコーチングを実施されています。
『コーチング忍者の2分コーチング入門講座』など様々な形でコーチングを啓蒙されており、今回の1冊もその一つ。
本の内容を簡単に
本書は『上司の傾聴力』について書かれた本です。
まずは本の構成を確認するため、目次を見てみます。
「傾聴とは?」から実際の手順、気をつける点など傾聴について全てが網羅された一冊になっています。
とくに第4章の「聞き方」の手順は、書きとめて部下と面談する際に活用したい内容でした。
アナタは部下の話が聞けているでしょうか?
本書の内容にふれつつ、一緒に考えていきましょう。
“傾聴”とは、静かな時間を提供すること
そもそも“傾聴”ってどういうこと
それでは解説しましょう!
傾聴は、情報過多で、うるさすぎる日常を遮断し、部下に「自分や、自分の課題と向き合える時間」「自分で考えざるを得ない時間」を提供すること
『優れたリーダーはなぜ「傾聴力」を磨くのか』p91より
わかるような、わからないような
簡単にいうと「部下に静かな時間を提供すること」かな
上司はただ静かにしていればいいというわけではありません。
- 貧乏ゆすりをする
- 眉間にシワをよせる
- 腕を組んでしかめっ面
こんな態度で聞いていては“傾聴”ではなく取り調べのような雰囲気になります。
アナタは「非言語」を上手く利用して沈黙することです。
笑顔で何でもウェルカムな状態で静かに聴いてください。
それが「傾聴」です。
聞かないとわからない時代だから“傾聴”が必要
そもそもなんで今になって“傾聴”が求められているの?
それはね。そういう時代だからだよ!
そういう時代??
しかし、時代は変わりました。終身雇用は事実上崩壊し、働いている人たちの価値観も多様化。(中略)それぞれの部下が何を考え、どんな価値観や夢を持っているのか、その部下にとっての「よい人生、よい仕事、ベスト・パフォーマンスがどんなことか」など、聞いてみないとわからなくなってしまったのです。
『優れたリーダーはなぜ「傾聴力」を磨くのか?』p15より
「残業は正義 vs ワークライフバランス」
「転職推進 vs 終身雇用」
「昇進希望 vs 現状維持」
人によって大きく価値観が異なり、マネジメントが複雑化している昨今。
当たり前が当たり前でなくなっているからこそ、部下の内側は聞いてみないとわからない。
そのために“傾聴”することが重要になってくるのです。
部下の話を聞くときの実践10手順
では、実際に面談するとき有効な手順をご紹介します。
- 手順①部下に「静かな時間」を提供しよう
自分は黙って、部下に静かな時間を提供する。
- 手順②復唱から始めてみよう
オウム返し、要約する復唱で心理的安全性を確保する。
- 手順③承認の言葉を使ってみよう
中立の立場で、ただ承認する。
- 手順④合いの手を入れてみよう
「そうなんですね」「というと」「ほかには」「もう少し詳しく」で合いの手を入れる。
※手順⑤以降は許可を得てから
- 手順⑤未来を問うてみよう
未来について聞く。
そのとき「1年後に何していたい?」と聞かない。 - 手順⑥感情を問うてみよう
最終的な意思決定は思考と感情によって決まる。
1回目は100%失敗するので、繰り返しトライする。 - 手順⑦洞察を促してみよう
表面に出ていない心の深い部分について、自分自身で考えてもらうように促す。
- 手順⑧方向性を例示しよう
すぐに教えない。
仕事と成長のバランスを上司がコントロールする。 - 手順⑨相手(部下)の意思を聞こう
「どうするべきだと思う?」ではなく「どうしたい?」と聞く。
- 手順⑩笑って接してみよう
話を聞いているときは「非言語」が大事
本書の手順からエッセンスだけまとめました。
とても実践向きで確実性のある内容ですので、詳細はぜひ本書を手に取ってみてください。
“傾聴”は難しい?難しくなる3つの要素
“傾聴”は上司と部下の関係性によって難しくなることがあります。
ここでは、難しくなる3つの要素を紹介します。
近い関係性
あー、彼とは長いから聞かなくてもわかるよ!
ほぼ毎日あっているため事前の基本情報が多く「わかった気」になってしまうことがあります。
相手は人間ですので、調子が悪いときもあるし、気持ちが変わることだってあります。
そういう変化は聞いてみないとわかりません。
「もう知っているから聞かなくても大丈夫」は要注意!
業務タスク中心
上司と部下という関係から、報告⇔指示の繰り返しだけになっていませんか?
報告⇔指示だけで話をよく聞いていると考えるのは要注意!
作業的な会話だと、思考停止で信頼関係が生まれません。
上下関係
「上司は完璧であるべき」
そういう考えが「聞くこと」の弊害になることがあります。
情報が錯綜する時代では、部下の方が詳しいなんてことが十分にありえます。
「上司」という役割を過剰に意識してしまうと、部下に聞くことができなくなります。
プライドや固定観念は一旦おいて、わからなければ部下でも聞く
本来やるべき「傾聴」に注力するためにも、他のことには時間をかけず素直に聞いてください。
話してもらうために必要な2つのこと
どうしたら話してもらいやすくなるのだろう?
必要なのはたった2つだけ!
では、一つ一つ見ていきましょう。
心理的安全性の確保
「心理的安全性(psychological safety)」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のこと
https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000230/ より
簡単にいうと「この人なら何を話しても大丈夫!」という状態です。
人に限らず、場所や雰囲気、本人の状態なども考えられます。
- 人が多い場所だと話にくいので、静かな個室で面談する。
- 腕組や強面で聞くのではなく、穏やかな表情で。
この心理的安全性が確保されていると本音を話してくれます。
話し手の様式の理解
「様式の理解」とは、(中略)お互いに「聞く」と「話す」を順番にうまいこと回すことができる、ということです。
『優れたリーダーはなぜ「傾聴力」を磨くのか?』p89より
話の途中で首をつっこんだり、言い分を根っから否定したり「聞く側」の態度によっては会話がうまく回りません。
そのような状態で本音を言いたくなるでしょうか?
逆にいうと「話し手の様式を理解」するだけで、1つ目の心理的安全性も確保することができます。
まとめ
本記事では「部下の話が聞けていない」という切り口から、林健太郎さんの著書『優れたリーダーは、なぜ傾聴力を磨くのか?』をご紹介しました。
「傾聴力とは?」
「部下の話を聞くときどうしたらいい?」
そのような内容を理解いただけたかと思います。
部下に悩んでいるリーダー
これからリーダーになる方
面談を有効にしたいリーダー
ぜひ、手にとっていただきたい1冊です。
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