本のカバー写真(書影)を使うと著作権の侵害になるのか?問題ない載せ方も解説 「著作権」の基本と常識が学べる本紹介

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カバー写真(書影)を使うことは著作権の侵害になるの?

SNSに本の感想を載せていたり、ブログで書評を書いているとそんな疑問が浮かぶのではないでしょうか。

「やっている人は多いから実際大丈夫なのでは?」と思うところですが、実際に著作権の侵害になるのでしょうか。

まず結論から言いますと、

ブログやホームページに本のカバー写真(書影)を使うことは、著作権の侵害になります

とはいえ、カバー写真があるとわかりやすいし、全体の見栄えも良くなるので、できれば使いたいですよね。

では、どうすればいいのか?

おおまかにこの2点があります。

  • 許諾を取る
  • カバー写真を取得してもいいサイトを利用する

今回の記事は、各書籍を参考に、ブログやホームページに本のカバー写真(書影)を載せる方法を解説していきます。

この記事でわかること

  • なぜ本のカバー写真を載せることがダメなのか
  • 本のカバー写真を載せるときの注意点
  • 著作権侵害にならない方法

※本記事の執筆者は法律の専門家ではありません。一切の責任を負いかねますので、ご注意ください。

なぜ著作権侵害になるのか

そもそも、なぜブログやホームページに本のカバー写真(書影)を載せることが、著作権の侵害になってしまうのでしょうか。

それは公衆送信権の侵害になるからです。

公衆送信権とは

公衆に向けて無線や有線放送、インターネットで送信する権利

「ブログに書影を掲載する」=「自分のブログのサーバーに書影データを保存する」

ということになります。

そして、そのブログは誰でも見れる状態にあります。

ということは、「読者のアクセス要求に対して、自動的に記事の情報を送信する」ということになります。

これは著作権の中でも「公衆送信権」にあたり、公衆送信権は著作者が独占するものなので、著作者の許諾なしでは著作権の侵害となります。

ブログに本のカバー写真を載せる2つの方法

そしたらカバー写真って載せれないの?

結論をいうと、全く本のカバー写真(書影)を載せることはできないわけではありません。

方法としては大まかに2つあります。

  • 許諾を得る
  • カバー写真を取得してもいいサイトを利用する

では1つずつ解説していきましょう。

許諾を得る

まずは「許可を取る方法」です。

カバー写真の場合、以下を網羅する必要があります。

  • カバーの著作者
  • 出版社

注意したいのが、「著者がカバー写真の著作権を持っているとは限らない」ということです。

カバーを書いたイラストレーターさんやデザイナーさんが著作権者となっていることが多いです。

また、出版社に著作権が譲渡されている可能性もありますので、その場合は出版社に許諾を得ます。

連絡しにくいということもあると思いますが、TwitterなどのSNSで著者とやり取りできれば、著者を通じて著作権者に許可を取っていただけることもあります。

実際に、私はその方法で許可いただいたこともあります。

カバー写真を取得してもいいサイトを利用する

書影を取得できる版元ドットコムを利用する方法もあります。

版元ドットコムとは、出版社が自由な意思のもとに集まってつくった会員制の団体です。

書籍の情報をまとめられたデータベースのような場所で、この中に書影も含まれます。

サイト内の説明を引用させていただくと、

本の紹介などのための利用はご自由にどうぞ。
個人・企業・図書館、問いません。

https://www.hanmoto.com/about_bookdataより

版元ドットコムにカバー写真が掲載されている本のうち【利用可】と記載されている本であれば、自由にダウンロードして使用することができます。

もちろん細かいルールはありますので、使用する方は必ずコチラを確認してください。



本の中身を使いたい場合は?

カバー写真ではなく、本や雑誌の中身は問題なく使用できるのでしょうか。

結論は「カバー写真と同様に公衆送信権の侵害」となります。

しかし、本の中身の場合は「引用」を使用すれば許諾なしで使用することができます。

「引用」と認められる5つの条件

書籍の中身については、「引用」を用いれば許諾なしで利用することができます

どのような場合に「引用」と認められるのでしょうか。それには5つの条件があります。

引用の条件
  1. 自分の文章がメインで、引用部分がサブであるという主従関係が明確であること
  2. 自分の書いた部分と引用部分を明瞭に区別されていること
  3. 引用する必要性があること
  4. 引用部分の出所(出典)を明記すること
  5. 内容の改変をしないこと

あくまでも受け取り側の認識なので、自分が条件をおさえていたとしても引用とみなされない可能性はあります。

ブログで書く場合は、下記のような引用のブロックが準備されているテーマもありますので、利用してみてください。

〇〇○

〇〇より

実際は暗黙の許諾を行っている?

SNSやブログを見ると、多くのカバー写真が使用されています。

これらは全て許諾を得られたものなのでしょうか。

おそらくそれはNOです。

では、私達の知らないところで「著作権侵害の訴訟」が山のように行われているのでしょうか。

おそらくそれもNOです。

著作権法上では、許諾を得ないと掲載することはできませんが、これらのブログやホームページには販売促進の一環になると考えられてもいるので、権力行使することがを差し控えているというのが現実です。

とはいえ、もし自分の書いた記事が「残念な記事ワースト100」という形で紹介されていたらどう思うでしょうか。

良い思いはしないでしょう(名が広まったとポジティブに捉えることもできますが)。

なので、批判的に形で紹介されて、不利益となる場合はクレームが入る可能性は非常に高いです

「暗黙」とはいえ、許諾を取って利用するのがベストなやり方ということは忘れないようにしましょう。

書影利用が可能な出版社

ここからは、各出版社が公式に表明している「著作物の使用」についてまとめます。

公式サイトより引用になりますが、必ずサイト元をご確認お願い致します。

利用可能な出版社

利用可能な出版社一覧
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 岩波書店
  • 評論社
  • ぽるぷ出版
  • かんき出版
  • 実業之日本社

ディスカヴァー・トゥエンティワン

私たちは、個人のお客様がSNS及びWebサイトや画像・動画共有サイトに感想やレビューを投稿いただくことを歓迎しております
皆さまの投稿はできる限り拝見しており、今後もより良いコンテンツを提供していくための励みになっています。いつも本当にありがとうございます。

ただし、弊社発行コンテンツの利用にあたっては守っていただきたいルールがあります。
以下にある<基本的なルール>Q&Aをお読みいただき、不安や疑問点があれば、 お問い合わせフォーム よりお気軽にご連絡ください。

ディスカヴァー・トゥエンティワン公式サイトより

岩波書店

○当該の書籍をご紹介下さる場合
・当該書籍の書影のそばに本の書誌情報(著訳編者名、絵本など絵を描かれた
方が表記されている場合は、画家名、書名、出版社名)を明記してお使い下さ
い。
・表紙はそのままお使い下さい(トリミングは行わないで下さい)。
基本的に、著作権者、小社への許諾申請は不要です。
・ご利用が紙媒体の場合は、収録された雑誌、書籍、パンフレット等を「編集
局ライツマネジメント部」宛に 1 部お送り下さい。
・HP 等ウェブで公開される場合は、その URL をお知らせ下さい。
・テレビ等で撮影される場合は、番組の簡単な企画書を添えて、メール・FAX
等でご連絡下さい。

岩波書店公式サイトより

評論社

加工しない形での書影画像の使用は、書誌事項、(書名、著者名、画家名、訳者名、出版社名)を併記していただければ、基本的にご使用可能です。弊社ホームページの書影画像データをお使いいただけます。
発売から一定期間が過ぎている出版物につきましては、表紙・定価の変更、改訂版の発行、絶版などの場合もございます。弊社ホームページの掲載情報をご確認ください。

評論社公式サイトより

ぽるぷ出版

本の表紙画像をご紹介される場合は、出典(書名、作者名、出版社名)を明記していただければご使用いただけます。
(図書館だより、雑誌、新聞、テレビなど)
可能でしたら、掲載誌または、掲載内容がわかるものを1部お送りください。
ホームページに掲載される場合は、該当するページのアドレスをメールにてお知らせください。

ぽるぷ出版公式サイトより

かんき出版

加工しない形での表紙画像の使用は、書名、著者名(文、絵、訳など)、出版社名(かんき出版)をご明示いただければ、許諾は必要ありません。小社ホームページの表紙画像データをお使いいただけます。

かんき出版公式サイトより

実業之日本社

現在刊行されている出版物をご紹介いただく目的であれば、ご自由にお使いいただけます
ご使用の際は、必ずクレジット(タイトル名・著者名・出版社名)をご明示いただきますようお願いいたします。書影は弊社のホームページからダウンロードいただけます。どうぞご活用ください。

実業之日本社公式サイトより

問い合わせが必要な出版社

問い合わせが必要な出版社一覧
  • インプレス
  • 東洋経済新報社
  • 偕成社

インプレス

メディア社様などの媒体にて弊社出版物を取り上げていただける場合には、インプレスブックスの専用フォームよりお知らせください。書影データや見本誌の提供もこちらから承ります。

株式会社インプレス公式サイトより

東洋経済新報社

書籍表紙 利用申請入力フォームより、必要事項を入力し申請が必要。

偕成社

出典として、書名・著者名・画家名・翻訳者名・出版社名を必ず明記してください。表紙画像については、偕成社ホームページから流用していただいてかまいません。掲載紙ができましたら、1部お送りください(ウェブページの場合は、お問い合わせの「そのほか」より掲載URLをお知らせください)。

偕成社公式サイトより

著作権について学べる書籍一覧

最後に、著作権が学べる書籍を紹介します。

  • ブログや動画サイト、SNSを日常的使う方
  • デザインや編集などのクリエイティブな仕事をしている方
  • 文芸や音楽、映像などの創作活動をしている方

という方はぜひ一冊でも読んでほしいです。

大まかに著作権を知りたい方向け

ここでは、とりあえず著作権の基本を学びたい人にオススメの本を紹介します。

これだけは知っておきたい「著作権」の基本と常識

著者】宮本督
出版社】フォレスト出版
【初版発行日】2017/7/21
【ページ数】192ページ

どんな本?

弁護士の宮本督さん監修の1冊。

SNSや動画投稿サイト、映画、有名人の似顔絵、官公庁の資料などなど多岐にわたって、著作権の基本とポイントが学べる本。

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SNS別 最新 著作権入門

著者】井上拓
出版社】誠文堂新光社
【初版発行日】2022/8/16
【ページ数】284ページ

どんな本?

弁護士であり、Youtuberでもある井上拓さんの著書

本書は“SNS”に特化して、読みやすく構成されている著作権本。
近年利用者が増え、一般の方でも著作権のトラブルが増えています。クリエイターだけでなく、一般のかたにも読んでいただきたい本です。

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プライベートからビジネスまで60分でわかる!図説 著作権

著者】中川勝吾
出版社】ディスカヴァー・トゥエンティワン
【初版発行日】2011/12/16
【ページ数】160ページ

本書はKindle Unlimitedで読み放題対象です。

どんな本?

弁護士の中川勝吾さんの著書。

ディスカヴァー・トゥエンティワンの中でも、いつでも携帯しておけるコンセプトで発行されている「携書シリーズ」での著作権本。図説で読みやすく、プライベートからビジネスまで内容が網羅されています。

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読むのはちょっと…漫画で学べる本

「普段本を読まないので…」

という方には、見るだけで学べる漫画を紹介します。

マンガでまるわかり著作権

著者】齋藤理央
出版社】新星出版社
【初版発行日】2021/1/22
【ページ数】207ページ

どんな本?

WEB制作会社「キングクラブ」に勤める三条のの香の元に、著作権のプロフェッシャルである葉金塔子が新プロジェクトとして参加する。著作権について学びながら、プロジェクト成功のために奮闘していく物語。

クリエイターであれば知っておきたい“著作権”の知識が網羅的に学べる1冊です。

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ルールを守って楽しもう!まんがで学ぶ著作権

著者】一般社団法人 コンピュータソフトウェア著作権協会
出版社】保育社
【初版発行日】2024/1/10
【ページ数】144ページ

どんな本?

小学生・中学生に向けてわかりやすく解説された本。

作る側だけでなく、あらゆるコンテンツを“使う側”にも知っておかなければいけないルールやマナーがまとめられている1冊です。

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クリエイターさん向け

最後に、作る側である“クリエイターさん”に特化した本を紹介します。

自分の作品を守るためにも、正しい知識をつけていきましょう。

クリエイターのための権利の本

著者】大串肇、北村崇 他
出版社】ボーンデジタル
【初版発行日】2018/9/30
【ページ数】428ページ

どんな本?

現場でトラブルになりがちな著作権問題について多くまとめられた本

やってはいけないこと、もし権利侵害されたときの対象方法など、詳細にわかりやすくまとめられています。
ボリュームがあり、クリエイターさんなら一度は読んでおきたい1冊です。

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駆け出しクリエイターのための著作権Q&A

著者】川上大雅
出版社】玄光社
【初版発行日】2020/8/31
【ページ数】208ページ

どんな本?

弁護士・弁理士の川上大雅さんの著書。

これからのクリエイターさんのために、実例で学べる著作権の入門書。
基本の知識だけでなく、法律に基づいた契約についても知ることができます。

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まとめ

本記事では、各書籍を参考に、ブログやホームページに本のカバー写真(書影)を載せる方法を解説していきます。

本のカバー写真(書影)を使用する時は、

  • 許諾を得る
  • カバー写真を取得してもいいサイトを利用する

この2つの方法を使用して、正しくルールを守りましょう。

  • ブログや動画サイト、SNSを日常的使う方
  • デザインや編集などのクリエイティブな仕事をしている方
  • 文芸や音楽、映像などの創作活動をしている方

そんな方はトラブルに巻き込まれないためにも、一読をオススメします。

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