
カバー写真(書影)を使うことは著作権の侵害になるの?
SNSに本の感想を載せていたり、ブログで書評を書いているとそんな疑問が浮かぶのではないでしょうか。
「やっている人は多いから実際大丈夫なのでは?」と思うところですが、実際に著作権の侵害になるのでしょうか。
まず結論から言いますと、
ブログやホームページに本のカバー写真(書影)を使うことは、著作権の侵害になります
とはいえ、カバー写真があるとわかりやすいし、全体の見栄えも良くなるので、できれば使いたいですよね。
では、どうすればいいのか?
おおまかにこの2点があります。
- 許諾を取る
- カバー写真を取得してもいいサイトを利用する
今回の記事は、宮本督さん監修の『これだけは知っておきたい「著作権」の基本と常識』を参考に、ブログやホームページに本のカバー写真(書影)を載せる方法を解説していきます。
この記事でわかること
- なぜ本のカバー写真を載せることがダメなのか
- 本のカバー写真を載せるときの注意点
- 著作権侵害にならない方法
※本記事の執筆者は法律の専門家ではありません。一切の責任を負いかねますので、ご注意ください。
基本情報
【タイトル】これだけは知っておきたい「著作権」の基本と常識
【監修】宮本督
【出版社】フォレスト出版
【初版発行日】2017年7月21日
【ページ数】192頁
本書の全体的な構成

まずは目次を見ていきましょう。
第1章 著作権とは何か
第2章 インターネットに関連する著作権
第3章 仕事に関連する著作権の扱い
第4章 生活に身近な著作権
第5章 アウトかセーフか?著作権侵害
第6章 著作物の正しく利用する方法
著作権については、とりあえずこの1冊があれば問題ない内容です。
シンプルに図解とともにまとめられているので、普段本を読まないという方でも気にせず読むことができます。
監修も弁護士の宮本督さんが実施しているため、本の内容としても安心できます。
- ブログや動画サイト、SNSを日常的使う方
- デザインや編集などのクリエイティブな仕事をしている方
- 文芸や音楽、映像などの創作活動をしている方
そんな方はぜひ本書を読んでいただき、トラブルをなるべく避けていきましょう。
なぜ著作権侵害になるのか

そもそも、なぜブログやホームページに本のカバー写真(書影)を載せることが、著作権の侵害になってしまうのでしょうか。
それは公衆送信権の侵害になるからです。
公衆に向けて無線や有線放送、インターネットで送信する権利
「ブログに書影を掲載する」=「自分のブログのサーバーに書影データを保存する」
ということになります。
そして、そのブログは誰でも見れる状態にあります。
ということは、「読者のアクセス要求に対して、自動的に記事の情報を送信する」ということになります。
これは著作権の中でも「公衆送信権」にあたり、公衆送信権は著作者が独占するものなので、著作者の許諾なしでは著作権の侵害となります。
ブログに本のカバー写真を載せる2つの方法


そしたらカバー写真って載せれないの?
結論をいうと、全く本のカバー写真(書影)を載せることはできないわけではありません。
方法としては大まかに2つあります。
- 許諾を得る
- カバー写真を取得してもいいサイトを利用する
では1つずつ解説していきましょう。
許諾を得る
まずは「許可を取る方法」です。
カバー写真の場合、以下を網羅する必要があります。
- カバーの著作者
- 出版社
注意したいのが、「著者がカバー写真の著作権を持っているとは限らない」ということです。
カバーを書いたイラストレーターさんやデザイナーさんが著作権者となっていることが多いです。
また、出版社に著作権が譲渡されている可能性もありますので、その場合は出版社に許諾を得ます。
連絡しにくいということもあると思いますが、TwitterなどのSNSで著者とやり取りできれば、著者を通じて著作権者に許可を取っていただけることもあります。
実際に、私はその方法で許可いただいたこともあります。
カバー写真を取得してもいいサイトを利用する
書影を取得できる版元ドットコムを利用する方法もあります。
版元ドットコムとは、出版社が自由な意思のもとに集まってつくった会員制の団体です。
書籍の情報をまとめられたデータベースのような場所で、この中に書影も含まれます。
サイト内の説明を引用させていただくと、
本の紹介などのための利用はご自由にどうぞ。
https://www.hanmoto.com/about_bookdataより
個人・企業・図書館、問いません。
版元ドットコムにカバー写真が掲載されている本であれば、自由にダウンロードして使用することができます。
もちろん細かいルールはありますので、使用する方は必ずコチラを確認してください。
本の中身を使いたい場合は?

カバー写真ではなく、本や雑誌の中身は問題なく使用できるのでしょうか。
結論は「カバー写真と同様に公衆送信権の侵害」となります。
しかし、本の中身の場合は「引用」を使用すれば許諾なしで使用することができます。
「引用」と認められる5つの条件
書籍の中身については、「引用」を用いれば許諾なしで利用することができます。
どのような場合に「引用」と認められるのでしょうか。それには5つの条件があります。
- 自分の文章がメインで、引用部分がサブであるという主従関係が明確であること
- 自分の書いた部分と引用部分を明瞭に区別されていること
- 引用する必要性があること
- 引用部分の出所(出典)を明記すること
- 内容の改変をしないこと
あくまでも受け取り側の認識なので、自分が条件をおさえていたとしても引用とみなされない可能性はあります。
ブログで書く場合は、下記のような引用のブロックが準備されているテーマもありますので、利用してみてください。
〇〇○
〇〇より
実際は暗黙の許諾を行っている?

SNSやブログを見ると、多くのカバー写真が使用されています。
これらは全て許諾を得られたものなのでしょうか。
おそらくそれはNOです。
では、私達の知らないところで「著作権侵害の訴訟」が山のように行われているのでしょうか。
おそらくそれもNOです。
著作権法上では、許諾を得ないと掲載することはできませんが、これらのブログやホームページには販売促進の一環になると考えられてもいるので、権力行使することがを差し控えているというのが現実です。
とはいえ、もし自分の書いた記事が「残念な記事ワースト100」という形で紹介されていたらどう思うでしょうか。
良い思いはしないでしょう(名が広まったとポジティブに捉えることもできますが)。
なので、批判的に形で紹介されて、不利益となる場合はクレームが入る可能性は非常に高いです。
「暗黙」とはいえ、許諾を取って利用するのがベストなやり方ということは忘れないようにしましょう。
まとめ

本記事では、宮本督さん監修の『これだけは知っておきたい「著作権」の基本と常識』を参考に、ブログやホームページに本のカバー写真(書影)を載せる方法を解説していきます。
本のカバー写真(書影)を使用する時は、
- 許諾を得る
- カバー写真を取得してもいいサイトを利用する
この2つの方法を使用して、正しくルールを守りましょう。
本書には、他にも多くの具体例が記載されています。
- ブログや動画サイト、SNSを日常的使う方
- デザインや編集などのクリエイティブな仕事をしている方
- 文芸や音楽、映像などの創作活動をしている方
そんな方はトラブルに巻き込まれないためにも、一読をオススメします。
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